仕事内容

人材業界に10年いた私がSaaS業界に転職した理由

私はSaaS業界で働いていますが元々は人材系の会社におり、SaaS事業に従事することなったのは30代で転職してからです。

ここでは私が人材会社で何をして何を感じたからSaaSに移ったのかについてお伝えできればと思います。

SaaSに転職する前は人材会社で働いていた

私はもともと人材会社で新卒から10年近く働いていました。

人材事業について平たくいえば求職者の方の転職支援と人材を採用したい企業への採用支援をおこなっている会社です。

いわゆる転職エージェントですね。

なぜ転職を経験したこともない新卒で転職エージェントを選んだのかというと、人の人生に大きな影響を与えられる仕事がしたかったから。

就活生の自分にとっては人生への影響の大きな仕事として一番イメージしやすかったのが仕事のミスマッチを解消することでした。

自分自身が就活生の立場として「どこに就職すべきなんだろう?自分に合ってないところで働くのは絶対嫌だな」と思っていたこともあり、人と職場のミスマッチを解消するビジネスにはとても社会的な意義や責任の大きさという魅力を感じたのです。

入社後は求職者との面談やら企業との商談やらを行い、求職者には求人を紹介して企業には人材をご紹介する仕事に携わっていました。

企業側で言えば自分で開拓した企業には愛着がありますし、その企業に自分が良いと思った人材をご紹介して採用いただけた時にはとても充実感がありました。

また、人材側で言えば他の会社からは良い求人が紹介されなかった方に自分経由で希望通りの転職を支援できて感謝された時にはとてもやりがいを感じました。

なかなか成果が出ない期間もあったのですが、何年か続けていくとどうやったら企業や求職者をうまく繋げられるのか、について自分なりの型ができてきて自然と成果が出せるようになってきました。

ただそれと同時に自分一人で成果を上げることに対して物足りなさを感じるようになってしまうようになりました。

自分一人が頑張ってもそれで貢献できる範囲があまりにも狭いことに限界を感じたのです。

確かに企業や求職者に対して影響を与えられる点は就活時から大きなギャップもなくやりがいにつながっていたのですが、求職者と企業をつなぐ仕事は月に1人の転職・採用を成功させれば目標を達成できるイメージで、要は目標達成ペースでご支援できたとしても毎月一人の人生/採用にしか影響を与えられないわけです。

確かに一人に対する影響度は大きいものの、社会全体で見た時のインパクトとして自分一人の力の弱さを意識するようになりました。

その結果、自然と私は自分一人で成果を出すのではなくより会社全体として事業を伸ばしていく仕事に興味を持つようになったのです。

ここが自分の中で仕事に求める価値が変わった一つの転換期だったように思います。

そのタイミングで会社内で社内公募があり、営業企画のポジションが募集していたので応募したところ幸運にも異動が実現。

私の企画職としてのキャリアはここから始まりました。

希望が叶ったこともあり、営業企画に異動してから3年くらいは会社の誰よりも早く出勤して土日もこっそり出社したりして毎月100時間以上残業してましたね。

新しい仕事に早くキャッチアップしたい気持ちもありましたし、独身だったので時間的な制約もなく好きなだけ仕事に打ち込める環境だったこともありました。

仕事内容としては、自分の担当マーケットの事業を伸ばす上でのリード獲得のためのイベント開催やら、営業ツールの作成やら営業向けの教育研修の実施などいろいろやらせてもらいましたし、営業の商談には年間200社くらい同行し、教育の一環で若手の営業の代わりに商談をやってみせて代わりにクロージングまで行ったり、外部イベントにブースを出す時にはブース出店の許可をもらうために何人もの営業部長に話を持ちかけて出店費用を確保したりと泥臭くも楽しく働いてました。

そうして営業企画として数年働く中で、担当マーケットを伸ばすためにはこんなことをすべきだと考えて起案した内容が全社展開すべきという話になり、それをするために事業企画に引っ張られることになりました。

営業企画時代は事業全体ではなく事業の中で自分の担当マーケットを持つというイメージでしたが、事業企画に異動してからは事業全体として成長させるために営業面に限らずシステム面やら事業提携やら検討できる選択肢が広がった点はとても面白かったですね。

SaaS業界を選んだ理由

人材会社での事業企画の仕事は面白かったです。

社内の中で経験できる仕事の中でも一番面白いポジションで仕事をさせてもらえているという思いはありましたし、自分の中で成長できている実感もありました。

ただ、そんな状況でも不安に感じることはありました。

それが企画職としてのキャリアを考えたときの社風とのミスマッチでした。

在籍していた会社は営業が強い&保守的な社風だったこともあり、企画の立場で新しいことや投資が必要なことを進めることが難しかったのです。

会社としてはしっかり利益が出ていたのでわざわざ新しいことにチャレンジしなくとも良いという判断は理解できます。

しかし自分のキャリアを考えたとき、企画職である以上はリスクを取ったり新しいことにチャレンジしたいなと感じていました。

転職エージェント経験から自分のキャリアの今後を見据えてみると、今は問題なくとも年齢を重ねていくにつれて経験が弱く市場価値のない人材になってしまうリスクが高いと考えたのです。(5年後の自分を想像してみても、年齢だけ5歳増えただけで職務経歴書に書ける経験やスキルの内容が全く変わっていなさそうでした。)

一生転職せず会社に残るなら市場価値がなくとも問題はありませんが、仮に将来業績が悪化してリストラでもされたら目も当てられません。

経営陣の考えを変えてみせる、との意気込みで最後の1年間は働きましたが結局無理で、このまま「新しいチャレンジをして苦労する」のではなく「チャレンジする機会を得るために苦労する」のは無駄だなと割り切って転職することにしたのです。

自分のキャリアは自分で作っていかないと誰も責任は取ってくれないので、企画職としてキャリアを作っていくと決めたからには他の会社に転職するしかないと思いました。

そうして始めた転職活動。

転職活動の軸としては「企画職として良い経験を積めそうなところ」でした。

じゃあどんな企業なら企画として良い経験を積めるのかを考えてみると、「新しいことにチャレンジすることに積極的な社風であること」が一番かなと思い、そうした観点で求人を絞り込んでいくと自然とSssS系の企業が多くなりました。

私としてはそこまで業界や商材を限定していたわけではなかったのですが、カルチャー観点で合いそうなところを探した結果SaaSだった感じです。

私は自分が経験したことのない仕事に挑戦することも好きなので、その意味でも商材がガラッと変わる点もSaaSは興味を惹かれましたしね。

加えて市場価値の観点でもSaaSという業界経験を積むことはプラスになるとも考えました。

転職支援をしていた経験から言うと、例え同じ職種の経験があったとしても別の業界への転職は難易度が上がるんですよね。

例えば私は営業企画の経験がありますが、それはあくまで人材業界での経験なので証券会社の営業企画ポジションにそのまま転職できるかというとそうではありません。

もちろん転職できる可能性はありますが同じ人材業界内で転職できる可能性に比べたらグッと落ちます。

なので将来的に衰退していく業界に転職してしまう場合、いざその業界を抜け出そうとしても他の業界に移ることが難しくなってしまうリスクがあります。

そのため自分がどの業界に転職するのかの選択は単にカルチャーが合っているかどうかだけじゃなく、その業界が将来にわたって伸びていきそうかという点も考慮したいと思っていました。

その点SaaSは年々新しい企業が参入しているため、SaaSの経験を積んでおくことは将来再び転職する必要が出た際にも有益な経験となるに違いないと考えたのです。

転職活動とは関係なく読んだ人気書籍の「ザ・モデル」もとても面白く、「ここまで体系的に事業を伸ばす方法が科学されている業界で働けたら学べることがたくさんありそうだ」とも感じてました。

そうしてSaaSに興味を持った私が転職活動の末に入社することになったのは大手企業のSaaS事業における受注率および解約率改善の企画ポジションでした。

実はSaaSだけじゃなく人材系でカルチャーが合いそうな創業間もないベンチャー企業にも応募して内定をいただいたのですが、想定される働き方や年収の面などを考慮すると家族の優先度が高い私としてはベンチャーは合わないかもしれないと判断して大手のSaaSに転職することを決めました。

内定をもらってから入社日までは引き継ぎの関係で1ヶ月以上空くことになりましたが、引き継ぎ後の有休消化中には何人かのメンバーや上司ともオンラインで飲む機会をいただき、皆さん良い人ばかりでしたので何の不安もなく入社日を迎えることができました。

そして転職してしばらくは営業企画のような立ち位置で仕事をしていましたが、1年くらい経ってからプロマネ(PdM)として働くようになりました。

SaaSに転職して感じた人材会社時代との違い

実際にSaaS業界に飛び込んでみて、人材にいた時との一番大きな違いとして感じたのが「みんなで協力して初めて事業として成立する」という点です。

転職エージェントって大手だと分業制を取っていていろんな役割の人がいますが、実は個人でもできる仕事だったりします。

実際に私の知人も一人で起業して年収数千万円稼いだりしてます。

一方でSaaSはというと、私のようなプロマネがいて、マーケがいて、エンジニアがいて、インサイドセールスがいて、フィールドセールスがいてカスタマーサクセスがいて、と大勢の力を借りて初めて成立するビジネスだなと強く感じています。

もしかすると優秀なエンジニアの人であれば最悪自分でプロダクトを作ってリードを獲得して営業してみたいなこともやれなくないのかもしれませんが、少なくとも私はエンジニアではないのでプロダクト開発は他の人の力を借りることしかできません。

なのでみんなの力がないと伸びないし、逆にみんなの力があれば伸ばせる。お互いがそれを感じながら仕事を進めているように見えますね。

人材会社にいた頃は企画として提案していく中で「営業が一番偉い」とか「優秀な営業を増やせば勝手に売り上げが伸びるのだから採用だけ頑張れば良い」みたいな雰囲気を感じてましたが、SaaSに移ってからはそうした雰囲気はゼロです。

お互いがお互いの仕事をリスペクトしているしそれがすごく居心地良く感じています。

また、みんな働くことへの意欲が高く(労働時間が長いという意味ではなく)、みんなそれぞれがプロダクトを良くしていきたいとの気持ちを強く持っているのでその点でも一緒に仕事をしやすいなと思っています。

人材会社の頃もモチベーションが高い人はいましたが、よく分からない感じの人もおりあまり会社全体としても熱量が高くない印象を持っていたので、今同じ方向を向いてお互いが頑張っていると感じられる状況がとても心地いいです。

こうした環境が合わないと感じる人もいると思うのであくまで相性の問題だと思うのですが、やっぱり転職活動時に想定していた通り自分にはこのカルチャーが自分に合っていたようです。

まとめ

私は人材からSaaSへとキャリアチェンジしましたが転職して良かったと心から感じていますし、そんな私自身もまだまだSaaSの経験が浅いので魅力を全て理解しきれていないと思います。

今はプロマネという仕事をさせていただいていますが転職時は営業企画寄りのミッションからスタートしていたこともあり、今後SaaSの中でどんな経験を積んでいけるのかワクワクしています。

既にSaaSで働いている方、これからSaaSで働く方からも勉強させていただきながら私も成長していければと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。