転職を考える人が思い浮かべるのが「石の上にも三年」という言葉ではないでしょうか。
「今の職場で働いてからまだ半年しか経ってないのにもう辞めたい。でもすぐに退職したら転職活動で不利になったりしたら嫌だな。。」なんて不安は誰でも感じることだと思います。
確かに、早期離職は転職活動で不利になる要素ではあります。
私は転職エージェントで働いていたので実際に早期離職された方が転職活動で苦戦するシーンも見てきました。
しかし、それでもやはり「石の上にも三年」は守らなくて良いと考えています。
なぜなら三年続けることに固執することでより大きな不幸をもたらす可能性があるからです。
現職で精神的に追い込まれそうなら一刻も早く転職活動を始めることをオススメします。
3年続けろと言われる理由
スキルが身につかない
最低三年は仕事を続けろと言われる理由の一つはスキル習得の観点です。
あなたは”1万時間の法則”というものをご存知でしょうか。
これは一つの分野で専門家になるまでに必要な時間が1万時間だという法則です。
それを会社での仕事に当てはめてみると、1日8時間労働で月に20日勤務とすると5年で大体1万時間に到達する計算になります。
もし残業や自己学習など業務時間外でも努力すれば3年で専門性を身につけることもできるでしょう。
ただ、短期間で離職してしまうとそうした専門性が身につかないままになるため、そうなると給料が上がらなかったり責任ある仕事を任せてもらえないといったマイナスな影響が考えられます。
仕事の面白さがわからない
不慣れなうちは誰でも上手くいかず、上手くいかないことは大抵面白く感じられません。
実力が身につく前に退職してしまうことでその仕事の面白さを知らずに離れてしまう事になるという点もよく言われることです。
忍耐力がない人材だと思われて転職で不利になる
早期離職する最大のデメリットとして言われるのが「またすぐに辞める」と思われてしまい選考で不利になるというもの。
これもある程度は事実です。
確かに半年や一年以内で退職した人材は次の転職で苦労するケースもあります。
企業にとっては採用や育成にお金がかかっていますし、仮に退職するとなれば後任の人材を採用するのにまたお金も時間もかかってしまうため、選考する際には「長く働いてくれそうかどうか」を選考基準にしている企業は少なくないです。
石の上にも三年に潜む間違った前提
石の上にも3年と言われるのには一定の理由があるものの、それが常に正解となる訳ではありません。
石の上にも三年が正しいとされる前提となっている価値観の中には「今の時代的にどうなの?」と疑問に感じざるを得ないものもあります。
どんなスキルでも身につけるべき(真実は”テクノロジーで代替できるものは身につけなくて良い”)
まずはスキルの面で前提とされていることとして、「どんなスキルでも価値がある」「長く続けるほどスキルの価値は高まる」という暗黙の了解があると思います。
しかし、あらゆることがデジタル化・自動化される現代においては「それは自分でやらずに機械にやってもらう方が良い」仕事もあります。
特に事務作業などはその典型でしょう。
IT投資をしない企業ではいまだに紙ベースでの仕事も多く残っていますが、そうした企業で「紙の書類を素早く処理していける」スキルを身につけたところで転職市場では評価されません。
ITの力で自動化できるのにそれを手作業で早くこなせるスキルを身につけるのは市場価値の観点から言えばかなり遠回りです。
見極めるべきなのは、「果たして今の会社や仕事を通じて得られるスキルに価値はあるのか?」という点です。
価値を感じないスキルを身につけるのに三年も我慢する必要はありません。
どの仕事も面白い(真実は”人と仕事には相性がある”)
また、「辛くても耐えればその仕事の面白さがわかる」というのも間違った前提でしょう。
人は誰しも異なる強みを持っていますし、何を面白いと感じるかどうかも人によってさまざまです。
自分に合わない仕事を忍耐力だけで続けることに果たして意味があるのでしょうか?
仮に社会に出てから40年間ずっと「面白くない」と感じながらスキルだけ身につけていった先に充実した人生が待っているでしょうか?
人と仕事には相性があります。
「自分にとっては面白くない」仕事というものは必ずあるので、それに執着せず自分に合った仕事を見つける選択肢があっても良いと思います。
辛い環境で耐えることは素晴らしい(真実は”自分に合う仕事なら辛いとは感じない”)
日本には”我慢こそ美徳”という価値観がありますよね。
なので「辛い仕事を我慢して続けることが尊い」と考える人もいるのですが、実際は自分に合った仕事であれば仕事は面白いと感じるし、努力も辛く感じません。
自分に合う仕事なら「苦しいけど我慢して努力」するのではなく、「楽しいから喜んで努力」できます。
無理して合わない仕事を続けることで褒めてもらえる時代ではありませんし、「楽しくて努力してしまう」ような仕事を探しましょう。
関連記事:試用期間での退職は転職に不利?【合格率を高める方法】
短期で退職するメリット
合わない職場を短期間で退職するのにはメリットもあります。
鬱などにならず健康で過ごせる
仕事をする上で一番重要なのは健康でいることです。
幸せな人生を歩む手段として働いているはずなのに、幸せになる手段で病気になるのは本末転倒でしょう。
転職市場という観点で言えば、特に避けなければならないが鬱病になることです。
ものすごく大事なことなのでもう一度言います。我慢して鬱病になるようなことは絶対に避けましょう。
鬱病の診断をもらって通院した記録があると転職活動の難易度は急激に上がります。
例えば100社応募して50社書類選考が通過する人がいたとします。
同じ経歴で鬱病になった人のケースを考えると、100社応募して書類選考が通過するのは5社くらいになるでしょう。
それくらい企業はうつ病を重く受け止めます。
「早く辞めてしまったら転職に不利になる」との懸念から我慢して続けてしまったが故にメンタルを壊してしまうのはもっと損です。
それなら早期離職のハンデなんてだいぶマシです。
肉体的にハードだとしても精神面で落ち着いて働ける環境を選びましょう。
もし今の職場で上司からのパワハラや業務のミスマッチなど、「長く続けられないかも」と感じるほどのストレスを感じるようなら早急に脱出することをオススメします。
年齢を重ねないことで市場価値を高く保てる
早く辞めるメリットとして、「若いうちに転職できる」という点も見過ごせません。
転職市場では年齢は物凄く重要な評価項目であり、ほぼ100%の求人が年齢制限を設けています。
求人票上では「年齢不問」と書いてますが、それは国が年齢で差別しないように定めているので形式的に書いているだけで実際は「20代のみ」や「35歳まで」といった形で合格する年齢の範囲が設定されているのです。
なので、できるだけ若いうちに転職活動をするというのは非常に合理的な判断なんです。
また、単に年齢が若ければ良いという話ではなくスキルと年齢のバランスが大事であるという点も早期離職をすべき理由になります。
例えばあなたが25歳だとして、スキルの身につかない職場で3年働くのとスキルの身につく職場で3年経験を積むのとでは市場価値は大きく変わってきます。
「28歳にしては大した経験を積んでないので不合格」という評価になるか「28歳なのにすごい経験を持った人材だから合格!」という評価になるかはどこで働くかが重要な要素になるのです。
スキルの身につかない職場であと3年働くくらいなら、今すぐに転職活動をする方が「25歳だからまだ経験が未熟だけど合格にしよう」という評価を得やすいですよ。
もし今の職場がダメだと感じたらやるべきこと
友人に相談してみる
もし今の職場で続けて良いか不安になったなら、まずは友人に相談してみましょう。
友人から具体的なアドバイスなどを得られなくとも友人に話すことで自分の考えが整理されていくので、「あ、話したら楽になった。」と終わるかもしれませんし、「話してみたらやっぱりウチの会社はおかしいから辞めよう!」となるかもしれません。
自分の中だけで完結させず、人に対して話す機会を持ってみると良いでしょう。
転職エージェントに相談してみる
転職エージェントに相談することで、今の職場で続けることや辞めることの影響を客観的な視点で知ることができます。
エージェントに登録したら強引に転職を勧められるのでは?と不安に感じる方もいるかもしれませんが、実際にはほとんどのエージェントが「人のサポートをしたい」と思って仕事をしています。
私も転職エージェントで働いていたのでわかりますが、情報収集程度に相談に来られる人も多くいますし、エージェント側もそれが当然だと理解していますので安心してご利用ください。
(登録も利用も完全無料なので、友達にコーヒーを奢って相談に乗ってもらうよりも安く済みます。笑)
今の職場で仕事を続けることが将来の市場価値を下げる可能性もあるので、ぜひプロの目線からアドバイスをもらうようにしましょう。
転職エージェントは多数ありますが、個人的にはリクルートエージェントがオススメです。
私自身が転職活動の時にお世話になったエージェントなのですが、求人数が日本で一番多いという点に加えて自分で求人を検索して応募できる機能もついているので、いろんな求人を見ながら今の職場に残るべきかどうかより具体的にイメージができると思います。