自己分析・企業研究

【元転職エージェントが解説】面接でキャリアパスについて質問しても良いのか?

この記事はこんな人向け

転職活動をしているけど、応募先の企業がどんなキャリアパスを用意してくれるのか気になる。

面接でキャリアパスを質問してもいいのかな?

転職エージェントで10年近く働いた経験をベースに解説していきます。

キャリアパスとは何か

キャリアパスとは、一般的に企業が従業員に示すキャリアの道筋のことです。

例えば営業として5年ほど働いたらリーダーに上がり、そこでさらに5年ほど働いたらマネジメントに上がる、あるいは別の部署に異動するといったようなことです。

就職活動の時や転職活動の時など、どの企業に応募するかどうかの検討材料として企業が提示したキャリアパスを重視する人も多くいます。

キャリアパスは当てにならない

こんなことを言うとガッカリさせてしまうのですが、キャリアパスなんて提示されてもあまり意味がありません。

採用ページなどでキャリアパスの一例を挙げている企業はありますが、それは約束されたものではなくあくまでも過去にそうした事例があったとか、理論上はそんなキャリアも可能だよ、という程度に過ぎません。

なのでキャリアパスを企業が示していたとしても全く当てにはなりませんし、逆に言えばキャリアパスを提示していない企業であっても自分次第でいくらでも望みどおりのキャリアを作っていくことができます。

例えば私自身も、会社としては前例のない形で営業から営業企画へ、営業企画から事業企画へと異動を経験しています。

会社のホームページを見てみたら自分のそうした異動歴がキャリアパスの例として掲載されていたのですが、「いやいや、今の部署だって枠が埋まってるのに自分と同じルートなんて実質ほぼ存在しないでしょ」という感じです。

また、会社としては営業としてマネジメントへ上がるルートとスペシャリストとして活躍していくルートに一応分けたりしているものの、基本的には会社が適性を判断して配置するので個人の希望はあまり関係ありません。

面接でキャリアパスを質問するのはデメリットも大きい

転職活動をしている人は面接で「キャリアパスはどうなっていますか?」などと質問するケースもありますが、質問で聞くのはメリットが少ない反面デメリットは大きいので注意が必要です。

キャリアパスを質問するメリットとしては会社が想定している今後のキャリアを聞くことができるという点が挙げられますが、先ほど述べた通り会社から提示されたキャリアパス自体にあまり信憑性がないためそこまで聞くメリットは大きくないと思っています。

一方の聞くデメリットとしては面接での印象が悪くなるリスクがあるという点です。

キャリアはあくまでも自分で作っていくだというスタンスの会社が多いため、会社にキャリアパスを聞く=会社に依存するマインドの人材である、という印象を企業に与えてしまうことがあり、そうなると面接での評価は低くなってしまいます。

個人的には聞くメリットが小さいのに不合格になるリスクが高まるのはもったいないことだと思っています。

制度・実績・組織構成を聞くことでキャリアパスの参考になる

もし自分がその会社でどんなキャリアを築けそうかを判断したいなら、質問すべきはキャリアパスではなく人事制度とこれまでの実績と組織構成の3点です。

・人事制度

・これまでの実績

・組織構成

まずは人事制度。

例えばとある商社は20代のうちに全員を海外に駐在させるという制度を持っている企業があります。

あるいは、別の企業では一定の年齢までに3つの部署を経験させる、という企業もあったりします。

このように年齢と経験がセットになった制度を持った企業はキャリア形成のイメージが持ちやすいので、そうしたキャリアに関する人事制度がどうなっているのかを質問すると良いでしょう。

具体的には以下のような項目についてヒアリングするとイメージがつきやすいと思います。

・異動が人事制度に組み込まれているか(5年を目安に転勤が発生するなど)

・昇進や昇格の基準(入社してからの経過年数や年齢などが基準に含まれているか)

・異動希望を出せる制度はあるか

また、これまでの実績も合わせて重要な要素です。

例え制度がどうなっていようとも、実際の運用がちゃんとされていないケースなどいくらでもあるからです。

なので人事制度を確かめたら、その運用実績がどうなっているのかを聞くようにしましょう。

また、単に人事制度についてだけでなく、最短で昇進昇格した人の年齢を聞いてみたり、自分の配属予定の部署から別の部署への異動実績が何年で何人くらいいるのかを聞いてみると良いです。

そして最後に組織構成。

組織構成は同じ職種の中でキャリアアップしていきたい人が必ず聞くべき要素です。

例えば、部署の中で自分が一番若手になるのであれば、「当面は昇進や昇格が難しそうだな」などと推測できます。

年齢構成やそれぞれの役割分担などを聞いておけば、自分がどんな領域で仕事の経験を積んでいけるのかをイメージできますし、それだけで転職の失敗はかなり防ぐことができます。(●●の経験を積めると思っていたのに入社してみたら無理だと分かった、というようなミスマッチを防止できます。)

まとめ

ご紹介したように、面接でキャリアパスについて直接聞くのはリスクが高い反面、メリットがあまりありません。

質問する場合には制度や実績、組織構成などを聞くことでキャリアの見通しを自分自身で立てるようにしましょう。