転職活動をしようと思った時に真っ先に思いつくのがハローワーク(公共職業安定所)という方も多いと思います。
実際、ハローワークは実績も豊富ですし雇用のセーフティネットとして重要な役割を果たしていますが、一番最初に頼るべきところかというと必ずしもそうとも言えません。
転職エージェントの経験をもとにハローワークを利用するメリットとデメリットを解説していきますので、利用する前に参考にしてみてください。
関連記事:転職エージェントとハローワークの違いは?どっちを使うべき?
※この記事で取り上げているハローワークの実績データは厚生労働省の資料から拾っています。
メリット
UターンやIターンに強い
ハローワークが令和2年に扱った新規求人数はなんと790.6万件。
その多くが地方の求人であり、UターンやIターンなど地方での就業を考える人にとって強い味方となってくれます。
民間だとどうしても首都圏など都市部の求人が多くなってしまうので、地方求人を探す上ではハローワークは強いと思います。
また、ハローワークでは地方公共団体と連携して就労支援を行なっており、協定を締結しているのはなんと1723箇所。
民間では考えられないほどの規模ですね。
具体的には以下のような連携を行っているなど、地方就職の支援を強化しています。
・ジョブカフェ事業
・ふるさとハローワーク事業
・生活保護受給者等就労自立促進事業
実績が豊富
ハローワークは実際に就職支援をした実績もすごいです。
平成29年〜令和2年のデータを見ると毎年100万件以上の就職支援に成功していることがわかります。
ちなみに相談にきた新規求職者数は令和2年度で453.7万件に対して就職件数111.5万件。
四人相談して一人が就職に成功するイメージですね。

スキルアップのための職業訓練がある
ハローワークでは職業訓練というスキルアップの機会があります。
1.ゲーム・アプリ・Webクリエーター養成科
2.食育指導員養成(昼)科
3.グラフィックデザイン(午後)科
4.インテリアデザイン(午後)科
5.ネットワークセキュリティスキル習得科
これまでのスキルだけでは転職が難しいという方も職業訓練を受けることで合格する可能性を高めることができるのはメリットかと思います。
幅広い層を対象にしている(新卒、高齢者、障害者、子育て中の父母)
ハローワークは雇用のセーフティネットだけあり、幅広い方の就業を支援しています。
新卒応援ハローワーク:学生が対象
わかものハローワーク:正社員を目指すフリーター
マザーズハローワーク:子育て中の女性や父子家庭の父などが対象
ふるさとハローワーク:設置地域に住んでいる人
外国人雇用サービスセンター:高度外国人材が対象
民間の職業紹介の場合、職業紹介を行なっている企業やブランドごとに支援対象者が(公表されていないにせよ)決まっているケースが多いので、自分に合った職業紹介事業者を探すことが難しかったりします。
ハローワークの場合には新卒からフリーター、高齢者から障害者、外国人に至るまで支援の対象としているので誰でも安心して相談できそうですね。
デメリット
ここからはハローワークを使うデメリットを解説していきます。
離職率が高く定着しずらい
ハローワークを使って転職しても長く続きづらいのはデメリットの一つでしょう。
厚生省のデータ(https://www.mhlw.go.jp/content/000735217.pdf)によると、ハローワーク経由で就職した人が入社半年以内に離職する率は平均して20%前後とかなり高い水準になっています。

民間の職業紹介事業者経由で転職した場合だと半年以内で離職する割合は10%もありません。(せいぜい5%程度)
原因は色々と考えられますが、いずれにせよ長く働けないのはキャリア上良いことではありません。
職務経歴書や履歴書で経験社数が増えれば増えるほど次の転職活動で不利になることが多いので、できるだけ長く定着できるのが望ましいです。
※こちらの記事もオススメ:ハローワークに初めて登録する前に知っておくべきこと
優良企業の求人が少なくキャリアアップを目指しにくい
就職後に人材が定着しない原因にもなっていると思いますが、ハローワークで掲載されている求人は優良企業が少ないです。
優良企業の定義は人それぞれかもしれませんが、代表的なものとしては「業績が良く倒産のリスクが少ない」「スキルが身につく」「給料がよい」「過重な残業を強いられない」などといった要素を満たす企業だと思います。
ハローワークで掲載されている企業では上記の条件を満たす企業が少ないと思います。
ハローワークは企業にとって「無料で人材採用ができるサービス」であり、採用にお金をかけられない企業が使うことが多いです。
採用に一切のお金を使わないというのは、それだけ業績が悪かったり人材のことを大事に考えていない企業が混じる可能性も高くなります。
情報量が少なく求人票以外の情報がない
ハローワークでは求人票に書かれている内容が情報の全てであり、それ以外の情報を得ることはできません。
民間の転職エージェントであれば担当者が企業に訪問したり打ち合わせをしたり、あるいはその会社で実際に働いている人にインタビューしたりする中で情報を蓄積していくので、社風や業績、離職率など求人票には書かれていない情報を持っていることが多いです。
「転職してみたら思っていたのと違った」というようなマイナスのギャップを無くすためには事前にどれだけ情報を得られるかが重要であり、ハローワークでは「実際に会社に入ってみないと分からないことが多い」点がデメリットとなります。
先ほどハロワ経由の就職は離職率が高いというデータを紹介しましたが、こうした事前情報量の差は入社後の定着性にも影響していると考えられます。
キャリアのアドバイスをもらいにくい
ハローワークでは幅広い人を対象にしている分だけ、自分に合ったキャリアのアドバイスをもらいにくいというデメリットもあります。
例えば転職エージェントなら特定の領域に特化しているので、その特化している領域の情報やノウハウが溜まりやすく的確なアドバイスを期待できます。
仮に「第二新卒の転職支援に特化」しているエージェントであれば、「第二新卒からキャリアアップするにはどんな会社で働けば良いか」「どんな業界や職種で第二新卒の募集が多いのか」「職歴が少ない中でどうアピールすれば良いか」といった情報をもとにアドバイスしてもらえます。
一方、ハローワークの場合は若者から高齢者までと幅広く支援しているため、あなたの状況を踏まえたアドバイスは期待しづらいのが実情です。
本来キャリアとは目先の仕事だけでなく10年20年先の影響も考えた上で意思決定していくべきものなので、単に求人を紹介してくれるだけ、ということだとキャリア選択を間違えるリスクが高まります。
あなたの強みをプッシュしてくれない
ハローワーク経由で企業に応募した場合、ハローワーク側があなたのことを強く企業にプッシュしてくれることはありません。
転職エージェントであればそれまでの経歴や面談時のヒアリングで把握されたあなたの人柄や強みを企業に伝えることで選考通過率を高めてくれます。
エージェントによっては企業との関係性が強くて応募=書類選考通過というようなケースもあるほどです。
単に履歴書と職歴書を企業に送るだけでは他の候補者との差別化ができず通過率は悪くなってしまいますので、その点はハローワークのデメリットと言えるでしょう。
まとめ:ハロワを使うべきかどうかは慎重に考えよう
扱っている求人の質や受けられるサポートの質を考えると、ハローワークよりも転職エージェントを利用する方がキャリア形成の成功率は高まります。
なのでまずは転職エージェントから利用してみて、それで上手くいかなかった場合にハローワークの利用を検討するという順番がオススメです。
エージェントは星の数ほどありますが、最大手のリクルートエージェントが求人の量・情報の量・使い勝手の面など総合的に考えて一番使えるので利用してみてください。
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