「内定をもらったけどとりあえず行きます!って言っておけば良いのかな?」
「内定承諾したけどカウンターオファーをもらって辞める理由がなくなったから残っても良いのかな?」
本記事をお読みいただくことで、内定承諾とは何か?内定承諾後に辞退することはどんなリスクがあるのか?について理解することができます。
私は転職エージェントで勤務しており、内定にまつわるトラブルも数多く見聞きしていますのでその経験を元にシェアさせていただきます。
内定承諾後辞退とは何なのか?
内定承諾後辞退とは文字通り内定を承諾した後に辞退する事です。
しかし、ここで重要なのが何をもって「内定承諾」とするかです。
一般的に、企業の選考を合格すると企業から内定(オファー)が出て、採用内定通知書にサインをすると内定承諾となると思われがちです。
しかし、実はサインなどしなくとも口頭で「御社に入社します」と言ってしまえば雇用契約が成立し、内定承諾となってしまうのです。
内定承諾とは雇用契約が成立した状態のことを指す
結構いい加減ですよね。
なので「言った言わない」で揉めたくない場合には、オファーの連絡をもらっても口頭では返事をしない方が良いです。
また、正確にいうとそもそも企業が採用内定通知書を出しただけでは「内定」ですらありません。
実際には採用内定通知書(オファーレター)を出すことを「内定を出す」と呼ぶことも多いです。
実は、内定とは雇用契約が完了したことを指す言葉なので、本来であれば採用内定通知書に口頭やサインで回答した段階のことを意味するのです。
しかし、特に新卒の就活シーンでは企業からオファーが出ることを内定と呼んでいますので、中途採用の現場でも同様の意味で使われることが多いです。
一般的に内定承諾と言われているのは本来の意味である内定と同じ意味なんですね。

内定承諾後辞退をするきっかけや理由
現職からのカウンターオファー
内定承諾すると待っているのが現職企業への退職交渉ですが、現職企業からするとあなたに辞めて欲しくないので、退職を止めようと給料アップや希望部署への異動をほのめかしてくることがあるのです。
そうした慰留のために出される現職からのオファーをカウンターオファーと言います。
カウンターオファーは基本的に人材の希望を叶える形で提示されることが多いので、転職先からもらうオファーよりも魅力的に映りがちです。

家族からの反対
家族からの反対によって内定承諾後辞退を選ぶ方もいます。
特に奥さんから転職を反対されて辞退するケースが多いです。
奥さんからの反対に遭うことを業界内では「嫁ブロック」と呼ばれています。
そうなる原因としては、事前に家族に転職しようとしていること、どんな先へ転職しようと思っているかということを共有出来ていないためです。
家族から反対されるリスクがある場合には、先に内定までもらっておいて強引に認めさせようとする方もいるのですが、それが失敗すると辞退となります。
友人や知人から企業のよくない噂を聞いた
転職活動を始めたばかりの頃はたくさんの求人に応募しており、一つ一つの企業についてしっかりとリサーチできていないことも多いです。
しかし、内定フェーズともなれば徐々に転職先の候補となる企業も絞り込まれてくることでしょう。
そんな中で友人や知人と飲んでいる時にこんなやりとりがあったりするんです。
「実は俺転職しようと思ってるんだよね。」
「え!どこに行くの?」
「○○社から内定もらったからそこに行こうと思ってる」
「そうなんだ、、。そこって友達で昔働いてた奴いたけどブラックらしいよ。」
こうなってしまうと、一気にネガティブな思考が働いて辞退に至ることがあります。
家族の急病などで転職や就業が難しくなった
家族からの反対とも近いですが、親御さんが急病で倒れたなど、予期せぬ事態で転職どころではなくなる可能性はゼロではありません。
こうしたどうしようもない理由であれば企業も事情を汲んで事を大きくせずに納得してくれることが多いです。
そのほかの例
・配偶者の海外転勤が急遽決まりついていくことになった
・介護が必要になった
内定承諾後辞退に潜むリスク
内定承諾後の辞退は決して違法な訳ではありません。
憲法で職業選択の自由が保障されている以上、個人は自由に仕事を選ぶことが出来ます。
当然、承諾した仕事をしない自由もある訳です。
しかし、違法ではないからといって辞退するのはリスクもあるので知っておくと良いでしょう。
企業から訴えられるリスク
先ほど述べたように、内定承諾とは企業との雇用契約を交わしたことになるので、承諾後の辞退は契約を一方的に破棄してしまうことを意味します。
内定承諾したことで、入社前の外部研修費用や受け入れ準備のための備品購入など、内定承諾後の辞退によって企業に損害を与えた場合には訴えられるリスクもあります。
辞退すると分かっていたら企業は別の人材にオファーを出せたはずです。
内定承諾した段階で他の候補者には不合格の連絡をしているので、辞退となれば再度募集からやり直ししなければなりません。
その時間やコストは大変なものです。
その裁判で負けないにしても、訴訟に付き合うのは時間と労力で大きな負担となるためできるだけ避けたいところです。
評判が悪化して将来の転職に影響するリスク
内定承諾後辞退は社会人としての常識が欠けている行為として企業や転職エージェントからの評判は悪くなります。
中途採用の世界は広いようで狭いです。
年齢や経験を積み重ねるにつれて転職できる企業は徐々に減っていきます。
仮に将来他の企業に応募しようと思っても、辞退した企業の社員が競合他社に転職していることも多いため、悪評が業界内に広まると転職は難しくなってしまいます。
中途採用ではリファフェンスチェックと呼ばれるものが実施されることがあります。
これは、候補者の知り合いにインタビューをして、候補者の仕事ぶりや性格に問題がないかをチェックするものです。
内定承諾後に辞退した実績があることで、リファレンスチェック時に悪影響がないとは言い切れません。
また、エージェントとしても一度内定承諾後辞退をした人材は安心して企業に紹介することが出来ないので、求人の紹介もストップすることになるでしょう。
もし大手のエージェントを使っていた場合には貴重な転職チャネルの一つを失うことにつながります。

カウンターオファーの約束を破られるリスク
カウンターオファーに乗せられて内定承諾後辞退をした結果、後悔している人は珍しくありません。
なぜならカウンターオファーはつなぎ止めることが目的であり、転職を辞めた途端に約束を反故にされることがあるからです。
例えば「来年希望部署に異動させてやる」と約束してくれても、業績の悪化や担当役員の退職・異動などをきっかけとして一向に話が進まないというのはよくあります。
また、一度転職を考えた人材を将来的な幹部候補として扱うのはリスクと考える企業も中にはあります。
いつ辞めるか分からないからです。
なので、仮にカウンターオファーを受けるために内定を辞退しても、カウンターオファー自体を反故にされるというリスクがあることは知っておいた方が良いでしょう。
また、仮にカウンターオファーの約束を守ってもらえたとしても、「転職しようとしたやつ」という噂が社内で広まると働きづらくなり結局退職を選ぶ人もいます。
カウンターオファーは口約束です。
よくあるのが約束した相手が転職したり異動してしまい、後任の人にはその約束が引き継がれず自然消滅するパターン。
内定承諾後に辞退する時はどうすればいいか
やむを得ない事情で内定承諾後に辞退をする時は企業に必ず電話とメールで辞退する旨と謝罪の気持ちを連絡するようにしましょう。
もし転職エージェントを使っている場合であれば、転職エージェントへの謝罪と合わせて企業への謝罪のメールもエージェント経由で送ってもらうようにするのが誠実な対応と言えます。
誰しも辞退の連絡なんてメールだけで終わらせたいのが本音ですが、事態が事態だけにそうはいきません。
メールだけで済まそうと思っても必ず電話がかかってくることになります。
そのまま出ずにフェードアウトしてしまうとそれこそ完全に業界内でNG人材となる覚悟が必要です。
電話はすぐにつながるかどうか分かりませんので、まずはメールをし、その後に電話をすると良いと思います。
オススメ記事:内定辞退は電話で伝えるべきなのか?どう伝えれば良いのか?
内定辞退をメールで伝えるときの文面例
○○様
お世話になっております。
(あなたの氏名)です。
先日お受けした△社の内定に関しまして、誠に勝手ながら辞退をさせて頂きたくご連絡致しました。
一度お受けしたオファーを辞退するということがあってはならないことというのは承知しておりますが、一身上の都合によりお断りせざるを得なくなりました。誠に申し訳ございません。詳細は改めて電話にてお伝えできればと存じますが、取り急ぎ内定辞退のご連絡とさせていただきます。
(あなたの氏名)
もし「本当は辞退したくないけど一時的にすぐ入社することが出来なくなった。」というケースであれば、企業側の事情が許せば、多少入社時期を延期してくれることもあり得ますので企業やエージェントに相談してみましょう。
まとめ
内定承諾後の辞退にメリットはありません。
辞退するなら採用内定通知書にサインする前にしておきましょう。
内定承諾後辞退をせずに済むように、きちんと納得のいく転職活動がしたいですね!
